CAE技術の導入には高価な費用が必要で、それに見合う効果が出るのか? という声をよく耳にします。CAE技術は、様々な成果を創出することができます。中でもQ・C・Dを向上させることは製造業にとって大きな成果創出ではありますが、最大のメリットは「人間の目では絶対に見えない“場(field)”を見える化できること」にあると私は確信しています。 特に製造業では、高温・高圧・高速・真空・内部流れなど、実験で可視化観察できない状態が多く、そんな場面でこそCAEが本領を発揮します。
実験では絶対に見えない現象を理解でき、“問題の根本原因”が可視化できるようになります。「作って壊して確かめる」回数が大幅に減ります。「どこをどう直せばいいか」 が明確になります。
また、営業ツールとして商談獲得の一助になったり、エンドユーザーにはブラックボックスだった部分が見えることによる安心感を提供することができます。
『どんな状態を見える化できるのか』について、
いくつか具体的な例をあげてみます。
流れ場(流体の動きが見える)
気体や液体の『流れ』は目に見えないため、CAEの最も代表的な可視化対象です。
<具体例>空気の流れ(換気、冷却、空力)、水や油の流れ(ポンプ、配管、ギアボックス)
渦の発生・消滅、流れの剥離・再付着、など
<CAEで流れ場を可視化すると> 流速の速い・遅い場所、渦ができる場所、流れが滞る場所
が分かり、流れ性能改善に直結します。
温度場(熱の広がり方が見える)
『熱』は目に見えないため、CAEによる可視化が非常に有効です。
<具体例> 筐体内の温度分布、ヒートシンクの冷却効果、ヒーターの発熱状態や輻射効果、
高温流体と低温流体の混合、昇降温時間の把握、など
<CAEで熱を可視化すると> 熱がどこからどこへ流れるか、どこに熱が溜まるか、冷却が効
いていない場所が分かり、熱性能改善に直結します。
応力場(力の集中が見える)
構造解析の基本であり壊れるか壊れないかの予測には欠かせないが、実測での可視化は難しい。
<具体例> ボルト締結部の強度、補強リブの効果、樹脂部品のスナップフィット強度、
溶接部の強度、疲労、クリープ、など
<CAEで熱を可視化すると> どこに力が集中しているか、どこが変形しやすいか、破損の起
点になりやすい場所など、応力場が見えると、設計の弱点が一
目で把握できます。
磁場・電場(電磁現象が見える)
電磁場は目に見えず、分布の実測もとても難しい領域です。
<具体例> モーター内部の磁束分布、コイルの発熱、電磁力による変形、電磁ノイズの発生
箇所、など
<CAEで磁場を可視化すると> 磁場に起因する損失低減、磁束の遮蔽設計、加熱効率向上な
どが図れ、電気設計と機械設計の連携もしやすくなります。
高温状態(温度場が見える)
高温環境は、センサーも壊れやすく、実験かとても難しい。
<具体例> エンジン内部の温度分布、電子機器のホットスポット、溶接・鋳造時の温度変化、
ブレーキディスクの発熱と冷却 など
<CAEで温度場を可視化すると> どこが一番熱いか、熱がどの方向に流れているか冷却が足
りない場所はどこか が一目で分かります。
高圧状態(圧力場が見える)
高圧は実験が危険で、内部の圧力分布を実測することは難しい。
<具体例> ポンプ・バルブ内部の圧力変化、配管の圧力損失、タンクの内圧による変形
流体衝撃(ウォーターハンマー)、など
<CAEで圧力場を可視化すると> 圧力が急に上がる場所、壁面に大きな力がかかる場所
破損リスクの高い箇所 が分かり、設計改善に直結します。
真空状態(気体の挙動が見える)
真空中はセンサーが使えず、圧力以外の内部状態を実測することは難しい。
<具体例> 真空チャンバー内のガス流れ、排気速度の分布、ガスの滞留・偏り、など
<CAEで見える化すると> 「どこにガスが残りやすいか」「どこが抜けにくいか」が分かり、
真空装置の性能向上に貢献できます。


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