流体解析の計算アルゴリズムと方程式の解法:数千万の未知数を解き明かす数学

◆基礎工学を学ぼう!

流体解析の裏側では、どのようなアルゴリズムが動いているのでしょうか。数値計算の手法には、大きく分けて「有限差分法(FDM)」「有限要素法(FEM)」「有限体積法(FVM)」などがあります。構造解析(部品の強度計算など)の世界ではFEMが圧倒的な主流ですが、流体解析の世界では「有限体積法(FVM)」が最も広く用いられています。

名前・メールアドレスを登録し、規約に同意して続きを読む

Loading...

有限体積法(FVM)の最大の特徴は、空間を分割した1つ1つの小さなブロック(セル、またはコントロールボリュームと呼びます)に着目し、その「境界の面」を通過する物理量(質量、運動量、熱エネルギー)の収支を厳密に計算する点にあります。あるセルから出ていった質量は、必ず隣のセルに入り込むため、空間全体で物理量の保存則が完璧に保たれるという、流体力学と非常に相性の良い優れた特性を持っています。

空間を細かく分割して方程式を立てると、最終的には中学校で習うような「連立一次方程式」に行き着きます。しかし、その規模は桁違いです。例えば、空間を1,000万個のセルに分割し、それぞれの場所で「圧力」「X方向の速度」「Y方向の速度」「Z方向の速度」「温度」の5つのパラメータを求めようとすると、未知数の数は「5,000万個」になります。つまり、5,000万元の連立一次方程式を解かなければならないのです。さらに、計算途中の桁落ち(誤差)を防ぐため、通常の倍精度(1つの数字につき8バイト)ではなく、よりリッチなメモリ(16バイト等)を割り当てるソフトもあります。

これほど巨大な連立方程式を、代入法などで直接解こうとする(直接法)と、現在のスーパーコンピュータでもメモリが完全にパンクしてしまいます。そこで流体解析では「反復法」と呼ばれるアプローチが取られます。これは、最初にすべての未知数に適当な「仮の値」を入れ、方程式の右辺と左辺のズレ(残差:ざんさ)を計算し、そのズレが小さくなるように少しずつ値を修正していくという気の遠くなるような作業です。コンピュータの圧倒的な計算速度があるからこそ成り立つ力技であり、残差が許容できるレベル(例えば0.001%以下)までゼロに近づいたとき、コンピュータは「計算が収束した(解が見つかった)」とみなして計算を終了します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました